はじめに

 

このサイトは、ベトナム中部の山岳民族「カトゥー族」が、クァンナム省ナムザン郡にて地域の伝統文化や自然資源を活用した観光によって収入向上、地域資源の保護、伝統文化の継承に取り組む「コミュニティー・ベースド・ツーリズム(※)」の紹介、及びそのツアー内容や、実際に参加された方のコメント等についてご紹介しています。

 

現在、公益財団法人国際開発救援財団(Foundation for International Developmen/Relief: FIDR)ベトナム事務所が運営しています。

 

※「コミュニティー・ベースド・ツーリズム」とは、伝統や独自の文化・社会・豊富な自然といった価値=地域資源を活用した自立的な観光開発をいいます。

 

 

■FIDRとクァンナム省ナムザン郡との関わり

 

地図
地図

 

さて、どうして「観光」にたどり着いたのかーその取り組みがはじまった経緯についてご説明します。

 

経済成長が続くベトナムですが、少数民族が暮らす中部山岳地域では依然として貧困状況に取り残されています。平地との貧富の差を縮めるためには、地域の住民による自立的な村づくりの取り組みが大切です。

 

 

FIDRは、2001年から2008年まで、国が指定する貧困郡のひとつであるクァンナム省ナムザン郡にて、人々の生活基盤の改善をめざす地域総合開発プロジェクトを実施し、農業技術研修や栄養改善活動、収入向上のための家畜飼育、識字教室開催などさまざまな活動をおこないました。

 

 

その中で、カトゥー族の伝統織物を通じた生計向上の活動にさらに取り組みたいという地域の女性たちの願いにより、2008年から4年間「少数民族手工芸支援プロジェクト」を実施しました。

商品製作から販売促進、組織運営まで取り組みまで女性たち自身で担えるようになり、2011年にはクァンナム省で初の少数民族による協同組合として認可を受け、彼女たちの村は同省が認定する「伝統手工芸村」として登録されました。

 

 

しだいにカトゥー族の伝統織物の評判が広まり、村への訪問者が増え、ベトナム国内のみならず海外からもはるばるこの山深い村まで足を運ぶ人たちがでてきました。

 

「織物だけではなく、カトゥー族にはもっと自慢できる宝がある」

「カトゥー族としての誇りや伝統を次世代に伝えたい」

 

女性のみならず男性も、そう考えるようになってきました。貧困により民族の自信も誇りも失くしかけていた彼らが変わりはじめたのでした。

 

そこでFIDRは、それまで実施してきた2つのプロジェクトを通してみえてきた地域の資源やその強み・弱み、取り巻く環境などを踏まえて、地域主導型の観光開発の可能性を見出しました。時を同じくして、地方政府も観光開発を軸とした地域経済の発展を政策として掲げはじめ、FIDRへ協力を要請しました。こうして、2012年から「少数民族カトゥー族地域活性化のための観光開発支援プロジェクト」を実施することとなりました。

カトゥー族の生活を体験する参加者
カトゥー族の生活を体験する参加者

 

 

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